飲食店の予約・顧客管理システムを導入する流れとは
飲食店の予約管理や顧客管理をするためには、紙の予約台帳を廃止して、専用の予約・顧客管理システムを導入するのが良い方法です。
ですが、どのシステムを選んだら良いのか、また、選んだとしても導入までどんな流れで進めればいいのかがわからず、決断できずにいることもあります。
ここでは、導入の流れについて確認しておきましょう。
サービスを比較して特徴を知る
予約・顧客管理システムを導入するためには、まずネットなどを通じていくつかのサービスを比較するところから始まります。
最近では、専用システムを店舗ごとにカスタマイズしてつくるのではなく、インターネット経由でサービスを利用できるクラウド型のサービスが主流となっています。そのため、社内にシステムに詳しいスタッフがいない場合でも、予約・顧客管理システムの導入が可能になっています。
どのサービスを利用すべきか、各サービスの紹介ページや比較サイトなどを参考にして、サービスの特徴を把握します。一見すると便利そうな機能がたくさん紹介されていますが重要なのは、自店舗で解決したい課題は何なのかを明確にしておくことです。
「顧客管理を充実させてリピート来店率をアップさせたい」「予約業務を効率化して、現場の負担を減らしたい」など、システムを導入する前に何を目的とするのか、また目的が複数ある場合には何を優先するのかを決めておくことで、サービスを選ぶ際に必要となる機能がはっきりします。
予約・顧客管理システムを導入すれば、すべてが解決するわけではありません。解決したい課題があって、それを解決するために最適な機能をもったシステムを導入する必要があります。
システムを利用するには、インターネットに接続できる環境と、パソコンやiPadなどの端末が必要になります。他の業務で利用しているiPadやパソコンがあれば、新たに購入しなくてもそのまま利用できるので初期投資を抑えることができますが、サービスによっては、iPadアプリに注力している反面、パソコンでは利用できなかったり、操作性がiPadとパソコンで大きく異なっている場合もありますので、パソコンでも利用する可能性がある場合は、事前に確認をしておくと安心です。
iPadをPOSとして利用している場合は、会計している時に予約電話がかかってくると予約台帳画面へ切り替えることができませんので、POS用のiPadとは別に予約・顧客管理システム用のiPadを準備した方が安心です。
また、コスト面での比較も重要です。大半のサービスでは、継続利用を前提に、月額費用のみで初期費用を抑えた導入が可能になっていますが、オプション機能などを追加すると高額の初期費用が発生する場合もあります。一定期間サービスの解約ができない「最低利用期間」も確認しておきましょう。
日進月歩でシステムは進化していますので、あまり長期間の縛りがあるサービスだと、自店舗にシステムの内容が合っていなかったり、障害が多くて業務に支障がでたり、将来的に自店舗にとってもっとよいサービスが出てきた時などにスムーズな切り替えができなくなってしまうので注意が必要です。
最低契約期間はできれば1年以内のものを選定しておくと安心です。どうしても2年以上の最低利用期間が設定されている場合は、サービス事業者に期間短縮が可能かどうか相談してみる方法もあります。
サービス事業者に問い合わせを行う
機能面、コスト面での比較を行い、自店舗にとってよさそうなサービスを見つけ出すことができたら、問い合わせを行います。各サービスの紹介ページには問い合わせ先の電話番号や、お問い合わせフォームなどが設置されていますので、どちらかの方法を選択します。
お問い合わせフォーム経由での問い合わせではメール主体でやりとりが発生しますので、質問したい内容が具体的にある場合は直接電話で問い合わせるのが効率的かもしれません。ホームページに書かれている紹介情報は限定的な内容であることが多いので、詳細資料を請求して送ってもらうようにしましょう。
可能であれば、営業担当者に来店してもらい直接相談できるのがベストですが、遠隔地などで難しい場合は電話で相談しましょう。欲しいと思っている機能が想定にあっているか、実際に導入するためにかかるコストはいくらになるのか、パソコンやiPadなど事前に準備しておく必要があるものは何か、といったことを確認します。
また、基本機能のほかにオプション機能についても確認しておきましょう。
契約後、導入前に設定作業が必要
サービス内容の確認ができ、問題がないと判断できたら、いよいよ契約に移ります。通常は、オンラインでメールアドレスとクレジットカード番号を入力して申し込みを行うか、紙の申込書に必要事項を記入・捺印して申し込みを行う方法になります。
利用開始前には「テーブル名称」や「コース名称」、「営業日の設定」など、店舗の情報を予約・顧客管理システムに設定する作業が必要になります。まだ操作に慣れていないタイミングですので、営業担当者に設定を代行してもらうか、必要な設定項目をまとめたエクセルなどのシートを用意してもらえると安心です。
インターネットを経由して利用するサービスのため、パソコンやiPadなどの端末さえ準備してあれば、あとは特別な設置作業は不要な場合がほとんどですが、電話連動機能(CTI機能)などを利用する場合は、専用端末を設置する場合もあります。その場合、サービス事業者に設置代行もお願いできるのか、その場合の費用はどれくらいかかるのかも確認しておくとよいでしょう。
あとは、今使っている予約台帳と平行稼動させる「移行期間」を決めます。例えば来月には完全移行したい、という場合はすでに受け付け済みの来月以降の予約情報を新しい予約・顧客管理システムに1件ずつ入力しながら操作に慣れていきます。
当月中に来店予定の予約は従来の予約台帳に登録、来月以降の予約であれば新しい予約・顧客管理システムに登録、ということを行っておくことで、来月になったらスムーズに新システムに移行することができます。ある程度有名な予約・顧客管理システムであれば、予約登録などの基本操作については簡単に行えるようになっていますが、分からない操作方法などがあれば、サポートデスクに連絡して解決するようにします。
飲食店で予約・顧客管理システムを導入するときには、まずは情報を集めて現場に合っているシステムを探すことから始めます。良いシステムが見つかったらサービス事業者に問い合わせて打ち合わせをおこないます。費用面も考慮して導入できるシステムが決まったら契約をして、初回登録を行うというのが基本的な流れです。