飲食店の予約・顧客管理システムで無断キャンセル対策ができる?
飲食店へのネット予約が普及するにつれて、簡単に予約ができるようになった反面、お店への連絡なしに当日来店のない「無断キャンセル」の発生件数も増加しています。こうした無断キャンセルに対して、予約・顧客管理システムを活用することでどのような対策が可能になるのかを調べてみます。
もくじ
無断キャンセル(No Show)が発生する仕組み
ネット予約が普及する前は、飲食店へ予約するには、電話をかけるか、直接お店へ出向くしか方法がありませんでした。手間がかかる分だけ「やっと予約が取れた」という安堵感もあり、同じ条件で同じ日に2件も3件も同時に予約を入れておくようなことは、ほとんどありませんでした。また、電話口でも店頭でも、直接やり取りした相手を裏切るような行動はとりづらく「特別な事情がない限りはキャンセルしない」というお客様が大半でした。
これに対してグルメサイトのネット予約では、条件を入れて検索ボタンを押せば、候補のお店がいくつも表示され、簡単に予約が申し込めます。そのため、同じ日にいくつものお店に対して予約を取っておき、同行者の好みを聞いてから行くお店を確定する、といったこれまでにない予約方法も増えてきました。気軽に予約ができることが、気軽なキャンセルの増加につながり、連絡のない無断キャンセルの増加にもつながっています。
もちろん、電話予約のお客様でも、無断キャンセルは発生しています。電話予約ではネット予約と違い手元に予約内容がわかるメールなどが残らないため、予約日や来店時間を間違ってしまう「うっかりミス」による無断キャンセルが起きる可能性があります。
SMS(ショートメッセージ)で自動リマインドを実現
従来はこうした無断キャンセルを防ぐために、来店日の前日などにお客様へ1件1件お電話で連絡をとり、予約人数や日時などに誤りがないか確認を行うしか方法がありませんでした。
予約・顧客管理システムを活用すれば、予約時の連絡先(携帯番号)へ予約確認のSMS(ショートメッセージ)を送信することができます。手動でのSMS送信だけでなく、来店日の前日などに自動でSMSをリマインド送信できるシステムもあります。
SMSでは予約ごとの専用URLが送信され、お客様がURLをクリックすることで、予約日時や予約人数といった情報を確認できます。「キャンセルポリシー」を記入しておけば、お客様が無断キャンセルを行った場合の罰則規定も明文化して伝えることができ「確認しましたボタン」をクリックさせることで、安易なキャンセルの抑止にもつながります。
店舗側では、お客様が「確認しましたボタン」をクリックしたかどうかが把握できるので、SMSを送信しても内容を確認していないお客様だけを抽出して、予約確認を行ったり、自動で再度SMSを送信したりすることが可能です。
このSMSを活用することで、これまで電話以外でアプローチできなかった電話予約のお客様へも、予約内容を目に見える形で送ることができ「うっかりミス」による無断キャンセルを減らすことができます。また、グルメサイトからのネット予約についても、メールよりも開封率の高いSMSを来店日前に送信して予約確認を行うことで「キャンセル忘れ」を減らすことができます。
グループ全店舗で無断キャンセルの履歴を共有できる
無断キャンセル対策の第一歩は「どのお客様が過去に無断キャンセルを行ったことがあるか」を見える化することから始まります。予約・顧客管理システムを利用すれば、予約したお客さまごとの過去の予約履歴やキャンセル履歴が自動的に蓄積されますので、無断キャンセルを行ったことのあるお客様が、ひと目でわかるようになります。
顧客情報は同じシステムを導入しているグループ店舗間でも企業単位で共有されますので、特に複数店舗を運営している企業であれば、どこかのグループ店舗で過去「無断キャンセル」を行ったお客様が違う店舗に予約しようと連絡してきたときにも、確認することができるようになります。
CTI(電話連動)機能があると、さらに効果的
店舗電話と連動して、着信と同時にお客様を表示できる「CTI(電話連動)機能」が利用できる予約・顧客管理システムであれば、無断キャンセル歴のあるお客様かどうかが「受話器をとる前に」わかりますので、より効果的な対応が可能になります。
過去に無断キャンセル歴のあるお客様から予約の電話があった場合、あまり良い席を押さえないようにしたり、キャンセルされても影響の少ない時間帯に誘導したりする、などの対策をとることができるようになります。
自社専用のネット予約でクレジットカード必須にすることも
自社ネット予約ページの申し込み情報に「クレジットカード番号」を必須化して、キャンセルされた時にキャンセル料を請求できるシステムもあります。
しかし、予約を申し込むお客様の側からすると「手間が増える」という認識になるため、申し込み完了前に「離脱」してしまうお客様が増え、予約数自体が減ってしまうというリスクもあります。
また、ネット予約が可能なグルメサイトが乱立している現状で、一切グルメサイトを利用せず、自社サイトからの誘導のみで運営が成り立っている飲食店は多くはありません。こうした状況で自社サイトだけクレジットカード番号の入力を必須化しても、自社ネット予約の申込数だけが減って、送客手数料が必要なグルメサイト経由の予約が増えた結果、グルメサイトに支払う送客手数料だけが増加してしまうという可能性もあります。
飲食店のネット予約で「クレジットカード番号」の入力がもっと一般化すれば、こうした問題も解決される可能性がありますが、当面は予約申込数に影響のない、お客様の負担にならない無断キャンセル対策が必要です。